2020年11月6日(金)、大手プレイガイドのチケットぴあ、ローソンチケット、イープラスの3社は、共同でチケット販売業務の共通基盤を開発すると発表しました。
新たに開発するシステムは、仮称「TA共通基盤システム」と呼ばれ、2022年春のサービス開始を目指しています。
大手プレイガイド3社は、新型コロナウイルスの影響をまともにうけたライブ、エンターテインメント業界と深く繋がりがあり、売り上げ的に大きな打撃を受けています。
今回の提携、共同システムの開発は、コスト削減を大きな目標としていますが、転売防止策やチケットのリセールなどにも役立てる可能性があります。
Contents
イベント主催者向け「チケット業務の共通基盤」の開発について
2020年11月6日、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスのプレイガイド大手3社は、イベント主催者(プロモーター)向けに「チケット業務の共通基盤」を開発、提供すると発表しました。
共通基盤のサービス開始は、2022年春を目標としています。
プレスリリース概要
これまでイベント主催者は、イープラス、ぴあ、ローソンエンタテインメントなどのチケットエージェンシー(プレイガイド)各社にチケット販売を委託する際、イベント情報や販売方法、チケットの価格や席番等の情報を各社ごとに個別に納品し、一方、各チケットエージェンシーも、そうした各種チケット販売情報を自社のシステムに登録し、各社ごとにその内容確認を主催者に再び行う、という非常に煩雑な作業を行ってきました。
現状では、上記の各種情報の授受は電子化されておらず、主にメールやファックスによって行われるため、主催者とチケットエージェンシー双方に、大きな業務負荷が生じています。
加えて、この度の新型コロナウイルス感染症により、ライブ・エンタテインメント市場は甚大な影響を受けております。業界全体の業務の効率化が急がれる中、今後のニューノーマルやDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応に向け、イベント主催者と各チケットエージェンシーが共通して情報伝達と情報処理を行える「共通基盤(イベント情報管理システム)」を開発し、サービスを提供することを目的に、イープラス、ぴあ、ローソンエンタテインメントの3社は、新たに組合「TAプラットフォームソフトウェア共同事業体」を2020年10月1日付で組成いたしました。
本組合では、3社で計8億円を拠出し、業界の「共通基盤」となるシステム開発を行うとともに、3社が同割合で出資する「TAプラットフォーム株式会社」がサービスの推進主体となり、主催者向けのチケット販売、及び施設管理ソリューションを提供します。
この共通基盤は、他チケットエージェンシーや他チケットソリューション提供事業者も利用できる「オープンプラットフォーム」として開発されます。
チケットエージェンシー3社が、音楽・演劇・スポーツ・イベント等の幅広い分野で培ったチケット流通の知見を最大限に活用し、使いやすく分かりやすい、基本メニューを無償で活用できるシステムを構築することで、イベント主催者業務の大幅な効率化に貢献したい考えです。
今後も3社では、業界団体や関係各社と常に連携し、一人でも多くの方がライブやスポーツ、ステージなどのエンタテインメントを楽しめるよう、エンタテインメント業界の発展と市場の拡大に尽力してまいります。
組合概要
【名称】
TAプラットフォームソフトウェア共同事業体
【組合員】
株式会社イープラス、ぴあ株式会社、株式会社ローソンエンタテインメント、TAプラットフォーム株式会社(システム運営/管理)
【サービス内容】
イベント主催者向け“チケット業務の共通基盤の開発、提供
- 主催者とチケット販売事業者(プレイガイド)間に「情報共通基盤」を開発
- 手動対応(手動で実施している管理面など)からシステムを介した自動化へ
- 主催者業務を効率化するソリューション、および電子配券プラットフォームの提供
【料金】
共通部分(基本メニュー)のサービスは無償提供
【特徴】
3社以外のチケット販売会社も接続可能なオープン設計を採用
【サービス開始】
2022年春
【TA共通基盤システムイメージ】
チケット販売の流れ
従来のチケット販売の流れ
従来のシステムでチケットを販売する場合、イベント主催者は、プレイガイドごとにチケット販売手続きが必要でした。
例えば、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスの3社で発売するのであれば3社分の手間が必要という訳です。
しかも、この作業はシステム化されておらず、メールやFAXを利用するというアナログっぷり。
要はかなりの無駄があったけど、チケット販売手数料という名目でユーザーからお金を巻き上げていたので成り立っていたという構図です。
新しいチケット販売の流れ
これまではチケットが沢山売れていたので、ユーザーからのシステム利用料で成り立っていた無駄の多いシステムですが、新型コロナウイルス感染症の影響で状況が激変します。
公演の中止や縮小が相次ぎ、プレイガイドのチケット売り上げも激減、現状のシステムでは採算が取れなくなったんです。
まあ、ちゃんと企業努力してこなかったツケが回ってきたってことなのですが、ここに至ってプレイガイドも重い腰を上げることになります。
こんな経緯でできたのが、チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスが共同で設立した「TAプラットフォームソフトウェア共同事業体」が開発する「A共通基盤システム(仮)」です。
このシステムが完成すると、チケット販売のための「共通基盤」ができあがるので、イベント主催者は「共通基盤」への手続きだけでOKになります。
各プレイガイドへの個別手続きが不要になるので、大幅な事務手続きの省略=コスト削減ができるってことです。
プレイガイド的にもコスト削減を図れるのでいいことづくめ!
ってか、なんでさっさとこのシステム作ってないのか意味不明なレベルです。
新しいチケット販売の共通基盤システムが完成すると
新しいチケット販売の共通基盤システムは、2022年春に稼働する予定です。
現時点では詳細が不明ですが、もし本格的に稼働すると
- 主催者の負担が減る⇒イベントの質が上がる
- プレイガイドの負担が減る⇒チケット販売手数料の値下げ
- 電子チケットの更なる普及
- チケットリセールシステムの利便性向上
あたりが見込めるかも。
特にここ数年のチケット販売業界では、転売禁止は強く推し進めるくせに、電子チケットやリセールのシステム整備が全く追い付いていないのが現状です。
「買ったものをどうするかは購入者の自由」というのが大原則です。
購入者が当然持っている権利を大幅に侵害するのがチケットの転売禁止なので、それ相応のケアがないのはありえません。
転売禁止というなら、
- 都合が悪くなった時のリセールを公演直前までできるようにする
- リセール手数料を格安またはゼロにする
- 電子チケット、リセールシステムを統一化し使いやすくする
この辺りは当たり前なのですが、残念ながら全く整備されていません。
プレイガイドには
- チケットなんて、「公演がみれればOK」なので余計な手間はかけたくないこと
- そもそも、購入したチケットを売ろうが買おうが個人の自由であること
- その個人の権利を「転売禁止」として制限するなら、それ相応のケアをするのは当然であること
- 公演やプレイガイドによって電子チケット、リセールシステムが違うなんて本来はあり得ない対応だということ※紙チケットはどのプレイガイドでも「紙」だよね
- プレイガイド手数料が「高すぎ」で、特に「特別販売手数料1,000円」なんてそもそも徴収する根拠がないこと
この辺りを再確認して欲しいと思います。
保守的なチケット販売業界ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で電子チケットは一気に広まりました。
ただし、その普及が早すぎて電子チケット、リセールのシステムが全く追い付けていません。
プロ野球日本シリーズのリセールなんて、最大で公演の1週間前で締切というヒドイ運用でした。
共通基盤が整うことと合わせて、リセールシステムも整備されていくのかどうか、今後が見ものですね。
How to get a Ticket
いつも拝見しています。
近年のプレイガイドの手数料の高さに関しては完全に同感です。1万円のチケットで2000円ほど手数料で出て行くことも多く、悪辣とすら思えます。
開催まで半年以上あるチケットの販売も嫌ですね(特に外タレに多く見られる)。さらに特定チケットだったりすると「その日は絶対に予定を空けておけ、救済策はない」ってことでしょうか?
(これはプレイガイドというよりはイベンターの資金調達のためには仕方ないのでしょうが。)
個人的には宝塚などはいい席で見られるなら多少高い額出すのも厭わないと思っているので、近年の規制強化の流れも良く思っていません。仰る通りリセールシステムなどをもっと充実させないと消費者の不利益が大きすぎるのではないかと思います。
コメントありがとうございます。
ご指摘のとおり、転売防止を優先するあまり、「普通にチケットを買ったユーザーの利便性」を著しく損なっているのが現状だと思います。
「外国人アーティストのチケット発売が早すぎ問題」も同感です。
一般的な社会人だと、特に年度替わりを挟んでしまうと、先のことが分からないケース結構ありますよね。
カープなんか、3月に1年分(10月まで)のチケットを全て売り出すというひどい対応です。
早く売るのはいいけど、しっかりとしたリセールシステムを構築して欲しいものです。
どぉも
主様が再確認して欲しい最後の項が助長されるだけだろぉなぁ~というのが、新システムへの感想です。
今回の改革が確実に進めば、チケット代金は確実に下がるはずです。何故なら、最もコストがかかる『人手』がなくなるのですから。更に、チケット転売法で実際に逮捕される事例に多くなっており、反社ふくめた業界のライバルが皆無になった現在、チケット商社の好き勝手な横暴は続くと思います。
だいたい、巨人戦の手数料1000円って、確か2年前ぐらいから始まったことで、明らかに『その転売価格でも売れるなら、手数料を倍にしても売れるし、問題にならないだろう。』というe+のエゴであることに間違いなく。
なのでまずは、会社の設立が、消費者(ユーザー)にとって、どれだけお値打ちなことなのかを提示すべき。
この記事にコメントが付くとは思ってませんでした(笑
私、プレイガイドの「特別先行手数料」ってほんとに意味不明だと思うんですよね。
何の手数料なの?
ご指摘のとおりイープラスがひどかったのですが、最近だとチケットぴあでも特別手数料1,500円なんてふざけた公演もあったりします。
この辺りも明確にしてほしいですよね。
利益を最大化するのが企業の常ですから、高くても買ってくれる人がたくさんいるチケットであれば、何だかんだで価格を上げるのが合理的ですよね。だから意味不明な名目の手数料が登場してるのだと思います。
しかも多くの場合は競争原理が働かない(主催者からもらう報酬については各社競争していますが、受注した後の一般ユーザへの販売では競争はほぼありません。)ので、手数料がどんどん上がる傾向にあります。
もしかしたら、主催者に対する報酬を極端に下げ、一般ユーザからの手数料を上げてようやくペイする構造になっているのかもしれません。主催者も、定価を上げるとイメージを悪くするので少しはためらいますが、報酬を下げてくれれば増益につながるし、手数料が上がっても一般ユーザから主催者に文句がくることもないので、手数料の水準に文句を付ける理由もないのかもしれません。チケットが売れる限りにおいては、ですけど。
主催者やアーティスト、チームにしっかり還元できればいいんですけどね~。
今までは「FAXでほぼ手作業」というありえない方法でチケット登録作業してたようです。
その無駄な費用はもちろんユーザーが負担。
そのほかにも転売対策にやる気がなかったり、プレイガイドに対してはかなりの不信感持ってます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、悪い部分が改善すればいいのですが、果たしてどうでしょう?