突然ですが、2020年7月に、JALグローバルクラブ(JGC)の修業をしました。
以前から興味はあったのですが、「わざわざお金と時間を使ってまで取得するメリットがあるの?」と思うところもあり、実際に行動には移していませんでした。
ですが、2020年7月末から開始された、政府のGo toトラベルキャンペーンに合わせてチケット、ホテルなどを手配しました。
実際にJGC修行にチャレンジしてみて、初めて分かった事や注意点がかなりありました。
特に、新型コロナウイルス感染症の拡大前と後では、全く状況が違います。
修行にあたり色々なブログを参考にしたのですが、「コロナ発生前と後」では違うところがそれなりにあって、従来の基準や常識が使えない場面がありました。
なので、ポイントや注意点、こうしたほうがいいよという内容をまとめておこうと思います。
Contents
JGC修行をするための事前知識
JALの上級会員JGCについて理解するには、最初に「マイルとFOPの違い」、「JMBとJGCの違い」について理解する必要があります。
JAL系列の飛行機に乗ると、「マイル」と「FOP」がもらえる
JAL系列の飛行機に乗ると、「マイル」と「FOP」という2種類のポイントがもらえます。
マイルはいわゆる特典航空券などに交換できるポイントで、一般的にも知名度が高いと思います。
航空券に交換できるということで、金券的な意味合いも強く持っています。
また、飛行機に搭乗するともらえるだけではなく、クレジットカードの利用やキャンペーンでもマイルを貯めることができます。
もう一つのFOPは、JALの「JMB FLY ON プログラム」というサービスで、会員ランクを決めるためだけに付与されるポイントです。
FOPは特典航空券に交換することができないので、ホントに「JMB FLY ON プログラム」の会員ランク判定にしか利用できません。
なので、JMB FLY ON プログラムに興味がない場合は、全く意味のないポイントです。
また、クレジットカードの利用などで貯まるマイルと違って、FOPは飛行機に搭乗しないともらえません。
これもマイルとFOPの大きな違いです。
フライトでもらえるマイルやFOPは、飛行距離、座席種類、予約枠などによって変わるので、自分で計算はちょっと難しいです。
なので、目的地、座席種類、予約枠などを入力すると自動計算してくれる「JAL公式サイト」を利用するのがおすすめ。
【JALマイル、FOP計算サイト】
https://www.jal.co.jp/cgi-bin/jal/milesearch/save/flt_mile_save.cgi
JALの「JMB FLY ON プログラム」
JALの「JMB FLY ON プログラム」とは、保有しているFOPに応じて様々な特典を受けることができるサービスです。
ランクは毎年1月~12月に取得したFOP、または飛行機への搭乗回数によって決まります。
FOPや搭乗回数は1年単位で積算され、翌年に繰り越しができません。
どんなに頑張っても12月31日を過ぎると0ポイントになるので注意しましょう。
獲得したFOPとランクの関係は次のようになります。
ランク到達の条件は、FOP、搭乗回数のいずれかをクリアすればOKなのですが、搭乗回数を稼ぐのは結構大変。
一般的にはFOPを貯める方法が主流なので、以降はFOPを貯める方法を前提にまとめます。
FOPは色々な方法で貯められるマイルと違って、飛行機に搭乗しないともらえません。
しかも、飛行機に乗ってもらえるFOPはあまり多くないので、JMB FLY ON プログラムの上位ランク会員になるのは結構大変です。
また、JMB FLY ON プログラムは有効期限が1年しかありません。
例えば、頑張ってJMBダイヤモンド会員になったとしても、その特典は1年しか使えません。
JMBダイヤモンドの特典を受け続けようとした場合、毎年飛行機に乗ってFOPを貯める必要があります。
JMBサファイア以上になるとJGC会員になれる
JALにはもう一つJGC(JALグローバルクラブ)という会員ランクがあります。
JGCへの加入条件は、
- FOPを貯めてJMBサファイア以上のランクになる
- JAL CLUB-A以上のJALカードを作る
の2点です。
なので、JGCになるためには、JMBサファイアの資格=FOP5万ポイントが目安になってきます。
JGCにも獲得したFOPや搭乗回数によってランクがあります。
基本的に、同ランクのJMB会員とJGC会員は同じサービスを受けることができます。
有効期限もJMBと同じく1年しかありません。
では、何でJGCは人気があるのか。
理由は、「JGCはクレジットカードの年会費さえ支払えば、獲得FOPに関係なく、JGCサファイア相当の会員資格を継続できるから」です。
イメージ的にはこんな感じ。
JGCに加入していない場合、サファイア以上のサービスを受けようとすると、毎年5万FOPも貯める必要があります。
これはかなりしんどいです。
ですが、一度JGCになってしまえば、クレジットカードの年会費を支払うだけでサファイア相当の資格をずっと継続して利用できます。
「毎年5万FOPが必要=飛行機に相当数乗らないとダメ」なのとは雲泥の違いですよね。
この、「毎年5万FOP貯めなくてもJALの上級サービスを利用できる」というのがJGC人気の理由です。
ちなみに、JGCのように、年会費の支払いで航空会社の上級会員になれるというのは、他国の航空会社ではありません。
JALとANAの日本地区会員だけの特典なので、この点でも非常に価値があります。
JALの上級会員JGCのメリット
毎年、クレジットカードの年会費を支払えば、JMBサファイア相当の特典を受けることができるJGC。
特典とメリットはこんな感じです。
1.ワンワールド加盟の航空会社でも特典を使える!(同行者1名OK)
JGCを持っていると、自動的にワンワールドエリートステイタス「サファイア」となります。
なので、ワンワールド加盟の航空会社で、上級会員としてのサービスを受けられます。
これがやっぱり一番大きなメリットで、世界各地の空港でランウンジの利用、優先搭乗、優先空席待ちなどのサービスを受けることができます。
JGCの価値の8割は、このワンワールドエリートステイタス「サファイア」相当のサービスといっても大げさではないと思います。
逆に言うと、海外旅行に行ってワンワールド系のサービスを受けない場合、JGCの価値は半減するってことになります。
2.サクララウンジを利用できる(同行者1名OK)
国内の主要空港に設置されているサクララウンジを利用できます。
サクララウンジのいいところは、保安検査の後に利用できるケースがあるってことです。
空港のラウンジは、クレジットカードのゴールドカード以上を持っていても利用できます。
ですが、クレジットカード用のラウンジは、空港によっては保安検査場の前にある場合があります。
保安検査場はとても混んでいることがあるので、通過するために必要な時間が読みにくいんです。
ラウンジが保安検査場の前にあるか、後にあるかはとても大きくて、当然保安検査場の後に利用できる方が時間的にも安心です。
また、地方空港だと、保安検査後には何もお店がないケースがあります。
こんな時、搭乗口前の椅子で待つよりは、サクララウンジのほうが精神的に楽。
携帯端末の充電もできるし。
あとは、ソフトドリンク、アルコール、軽食が提供されることもありますが、これは個人的に微妙でどうでもいいです。
国際線ならともかく、国内線のラウンジってたいしたことないし、結構混雑しています。
よくブログで紹介されてる「ステイタス、グレードが高い」ってのは無いかな~。
何か食べたり飲んだりしたければ、お店によれば済む話。
あくまで、搭乗前に休憩や携帯端末の充電ができる選択肢が増えるって思った方がいいと思います。
あと、地味に同行者1名OKってのもポイント高いです。
クレジットカードのラウンジは原則本人のみしか利用できないので、家族も利用できるのは大きなメリットです。
3.専用のチェックインカウンター、保安検査場が使える(同行者1名OK)
JALグループ便の利用時に、専用のチェックインカウンターを利用できます。
手荷物を預けたり、カウンターで相談してチケットを購入する時には便利。
また、新千歳空港、羽田空港、伊丹空港、福岡空港、(那覇空港)については、専用の保安検査場も使えます。
国内線の場合、この専用保安検査場の利用が一番使えると思います。
使える空港が限られますが、混雑時にはかなり便利。
4.家族カードを発行すると家族もJGC会員になれる
JGC会員になるには、クレジットカード「JAL CLUB-A以上のクレジットカード」の作成が必須です。
JALカードは家族カードの作成が可能なのですが、JGC会員が家族カードを作ると、なんと家族会員も本会員と同じJGCのサービスを受けることができるんです。
なので、家族の誰かがJGCの資格を取得すれば、あとは家族カードを作るだけでJGCのサービスを家族で受け放題になります。
これも他の航空会社では見られないJAL日本地区会員だけのメリットです。
ちなみに、JGCのサービスは、原則同伴者1名まで利用できます。
4人家族の場合、そのうちの2名がJGCであれば、家族4人全員がサービスを受けることができます。
デメリットとしては、JGCの家族カードは年会費がお高めな点です。
本会員と同額が必要なので、一番年会費が安いJGC CLUBーAカードでも、一人当たり1万円(税別)も年会費が必要です。
5.その他のメリット
- JGC専用予約デスクで電話予約ができる
- 前方座席予約サービスが利用できる
- 優先キャンセル待ち対象になれる(優先順位2番目)
- 手荷物の容量が増える
- 飛行機に優先搭乗できる
- 到着空港で手荷物を優先的に受け取ることができる
- JALを利用した時に35%のボーナスマイルがもらえる
- 毎年初回搭乗時に5,000マイルもらえる
- 成田空港でファストセキュリティレーンが利用できる
JGC会員になる方法、修行とは?
このように、一度JGCに加入すれば、クレジットカードの年会費を支払うだけで、永久的に会員資格=航空会社の上級会員資格を維持できます。
ただし、JGCに加入するための条件、「JMBサファイアへの到達」が結構大変。
JMBサファイアになるためには、5万FOPまたは搭乗50回という条件が必要なのですが、これは毎年1月~12月の間に達成する必要があります。
12月31日をまたいで翌年に繰り越すことができないので、出張が頻繁にあるビジネスマンとかじゃないと、なかなか到達できません。
また、もらえるFOPって意外なほど少ないのも問題。
例えば、羽田(東京)→伊丹(大阪)を「先特」という割引料金で1回飛んだ時にもらえるFOPは、たったの420ポイントです。
50,000ポイント貯めるには、なんと119回も乗る必要があります。
なので、FOPが多くもらえる「羽田→那覇便」を複数回往復したり、離島間を飛行機で飛び回るプランに参加したりして、JMBサファイアの資格を取るために飛行機に乗りまくる人がいます。
このように、一般人から見ると意味不明な飛行機の乗り方をすることを、JGC修行、マイル修行などと呼んでいます。
FOP修行
FOP修行とは、JGC会員になるために5万FOPを貯める修行です。
修行の方式としてはこちらの方がメジャーで、必要な費用も抑えられる傾向があります。
FOP修行をする場合、多くのFOPがもらえる長距離便を利用するのが大原則です。
ですが、国内便と国際便でFOPの付与率が違うので、とにかく遠方の国に行けばOKとならないのが難しい所。
一番シンプルでFOPを稼げるのは、羽田⇔那覇便なので、空港から出ずに往復だけする「変な人」がかなりの人数います。
回数修行
回数修行とは、JGC会員になるために搭乗回数50回を目指す修行です。
有名なのは、
- 伊丹⇔但馬
- 福岡⇔宮崎
- アイランドホッピング(宮古、石垣など)
などの、比較的短距離で料金がお安めの路線です。
回数修行は、費用がお高めになりやすい、スケジュールを組むのが大変、単純に50回も登場するのは大変というデメリットがあるので、飛行機が好きじゃないと厳しいかも。
JGC会員になる方法
1.とにかく飛行機に乗りまくる
JGCになるためには、まずはJMBサファイア会員になる必要があります。
JMBサファイア会員になるには、
- FOPという飛行機に乗るともらえるポイントを50,000ポイントためる
- 50回飛行機に乗る
という2つの方法がありますが、前述したようにFOPを稼ぐ方法が一般的です。
FOP修行のほうが費用も抑えることが可能だし、プランを作るのも楽。
私が選択したのもFOP修行です。
例えば、羽田(東京)→那覇(沖縄)をファーストクラス・特便で飛ぶと、1回の飛行で2,860ポイントもらえます。
なので、50,000ポイントもらうためには、約17回搭乗すればOKってことになります。
加えて、JALの特定カードを作るとボーナスで5,000ポイントがもらえるので、(50,000-5,000)÷2,860=約15回のフライトで達成できます。
2.JALカードを作る
JGCに加入するには、FOPを5万ポイント貯める事に加えて、「JAL CLUB-A、JALゴールドカード、JALプラチナカード」のいずれかのクレジットカードを作る必要があります。
また、JALカードを作ると、FOPを5,000ポイントも貰えます。
サファイア到達までに必要なFOPが、50,000-5,000=45,000FOPでOKとなるので、ポイント的に有利という点でも、あらかじめカードを作成しておくことをおすすめします。
ちなみに、私は事前にJAL CLUB-Aカードを作って修行に臨みました。
FOPを5万ポイント貯めた後にカードを作成した場合、万が一JALカードの審査に落ちたら全てが無駄になってしまうからです。
また、「JAL CLUB-A、JALゴールドカード、JALプラチナカード」のうち、作るカードは「JAL CLUB-A」の一択です。
この辺りの理由は次回以降にまとめてみます。
まとめ:JGCのメリット、デメリットと修行の基礎知識
JALの上級会員になる場合、飛行機にたくさん乗ってFOPというポイントを貯める必要があります。
しかも、上級会員の有効期限は1年限りなので、上級会員の資格を維持しようとすると、毎年飛行機に乗りまくってFOPを貯める必要があります。
ですが、JALの場合は、一度「JMBサファイア」という会員になれば、JGCという上級会員に加入できるようになります。
JGC会員はサファイアとほぼ同じ特典を受けられる上級会員で、しかも「JGCカードの年会費を支払えば、FOPに関係なく会員資格を延長できる」というメリットがあります。
つまり、飛行機に1回も乗らなくても、1度JGC会員になってしまえば、年会費を支払うだけで半永久的にJALの上級会員を維持できるってことです。
なので、JMBサファイア到達に必要な50,000FOPを目指して意味なく飛行機に乗る人=JGC修行僧という変人がいるんです。
ぶっちゃけ、国内線のみの利用であればJGCのメリットはかなり微妙です。
他のブログでは「これがおすすめ」なんて書いてますが、
- 優先チェックインカウンターなんて、タッチアンドゴー使えばそもそもいらない
- サクララウンジも人多すぎ&空港によってはクレカのゴールドカードラウンジで十分
- JGCの人が多すぎて、優先搭乗も長蛇の列になる
これが正直な感想。
JGCの資格に必要な「数十万円の初期費用+かなりの時間+年会費1万円」を考えると、費用対効果はかなり低いと思います。
JGC関連のブログをみると「おすすめ」とか「取らないと損」的なこと書いてますが、これは飛行機が大好きで、ステイタス達成が趣味の人からの視点です。
こういう意見を否定するつもりは全くありませんが、冷静に考えると、一般の人にはとてもじゃないけどおすすめできないと思います。
ですが、人間コストパフォーマンスが全てではないんです。
他の人が利用できるのに自分が使えないって悔しいじゃないですか。
分かってるんです、費用対効果が低いのも、一般人から見たら意味不明ってことも。
いいんです。
冷静に考えるとかな~りムダの多いJGC修行ですが、チャレンジすることに決めました。
という訳で、次回以降も続きます。
JAL「JGC会員」になるため修行をしてみるその弐 ANAではなくてJALを選んだ理由とクレジットカードの作成 JALマイルを貯めるならセゾンマイルクラブ+セゾン・アメックスが最強! How to get a Ticket
いつもプロ野球のチケットの取り方について興味深く拝見し、参考にさせていただいています。ありがとうございます。
今回はJGC修行のトピックが登場してちょっと驚きでしたが、今後のお話が楽しみです。私はANA派ですのでSFCを持っていますが、趣味のマラソンで何回か海外マラソン大会に行ったり、シンガポールにふらりと行ったりして5万ポイントを稼ぎました。今はコロナの影響で実質海外に行けないので、国内線のみで修業をするのはなかなか大変ですね。
ちなみに私はマイレージはANAとユナイテッドで貯めています。ユナイテッドのマイレージプログラムはANAの国内線の特典航空券が国際線扱いの早いタイミングで取れてしまうのでとても便利です。ついでに予約をANAのマイレージ会員番号に紐付けることで座席指定も出来てしまうというメリットもあります。
今年は貯めたマイレージで札幌に日ハムvsベイスターズの交流戦を観に行ったり、アメリカに大谷・筒香の試合を観に行く予定だったのですが全てキャンセル。残念です・・・。
コメントありがとうございます。
次のお話で登場予定ですが、私もANAのほうが好きなんですよね。
でも、なぜかチャレンジしたのはJALだったりします。
ユナイテッドからANAの国内線チケット取れるのはいいですね!
JALでもいい裏技がないか調べてみます。
JALの上級会員への修行、大変興味があったので楽しみに見させていただきました。
その中で
JGC会員になる方法
1.とにかく飛行機に乗りまくる
(中略)
なので、50,000ポイントもらうためには、約17回搭乗すればOKってことになります。
加えて、JALの特定カードを作るとボーナスで5,000ポイントがもらえるので、(50,000-45,000)÷2,860=約15回のフライトで達成できます。
とありますが、(50,000-5,000)が正しいのでは?
続編も楽しみにしております。
思い切って修行してきました。
需要がどれだけあるか不明ですが、少しづつupしてみます。
ご指摘のとおり、50,000-5,000が正しいです。
早速修正しました。
ご指摘ありがとうございました!