古都・鎌倉の切通「朝夷奈切通」を歩くハイキングコース

源頼朝が鎌倉幕府をひらいた鎌倉は、三方を山に囲まれ、残る一方が海に囲まれた「天然の要害」とされています。

山に囲まれた鎌倉に陸路で入るには、山を切り開いた道「切通」を通る必要があり、中でも「鎌倉七切通」と呼ばれる7つの切通が有名です。

今回は、七切通の中でも個人的に一番雰囲気が好きな「朝夷奈切通」について紹介してみます。

朝夷奈切通とは

朝夷奈切通(あさいなきりどおし)は、鎌倉と横浜市金沢区を結ぶ切通です。

鎌倉には由比ガ浜という海岸があるのですが、遠浅で大型船の寄港がほぼ不可能でした。

このため「朝夷奈切通」は、横浜方面に寄港した船の積み荷を運ぶ道として栄えたとされています。

正式名称は「朝夷奈切通」ですが、現在の地名から「朝比奈切通し(あさひなきりどおし)」と呼ばれることもあります。

 

朝比奈切通しは、「和田義盛一族の朝夷名義秀が一夜にして切り開いた」という伝説があり、名前の由来とされています。

そして特徴的なのは、鎌倉七切通の中でも比較的当時の雰囲気を残している点で、神秘的な雰囲気もあります。

鎌倉駅からのアクセスが若干悪いのですが、高低差が少なく1時間もあれば歩ける手軽さもあり、個人的には一番おすすめの切通です。

鎌倉駅~十二所バス停

鎌倉と横浜市金沢区をつなぐ朝夷奈切通は、西の鎌倉側から入る方法と東の横浜側から入る方法があります。

圧倒的におすすめなのは、西の鎌倉側から入るルートです。

理由は

  1. 鎌倉側ルートのほうが雰囲気が良い
  2. ぬかるみルートは上るほうが断然楽

この2点です。

詳細は、この後のレポートを読み進めればわかるはずです。

 

スタート地点は、JR鎌倉駅の東口です。

ここから、京浜急行バスの「鎌23系統 鎌倉霊園正門前太刀洗」か、「鎌24系統 金沢八景駅」行きバスに乗ります。

バスだと15分ほどで「十二所(じゅうにそ)バス停」に到着しますが、3.5キロ程度の道のりなので徒歩でも45分ほどで到着します。

ですが、途中の歩道が非常に狭いこと、車の交通量が多いことから、徒歩はお勧めしません。

 

「十二所バス停」を降りると、すぐに「峰本 朝比奈店」があります。

もし横浜方面から切通を歩いてきた場合は、ここでランチをするのもアリだと思います。

 

 

朝夷奈切通へ向かうには、県道204号線から東側にはいる道を歩いていきます。

こんな感じの看板があるので迷うことはないと思います。

 

【十二所バス停までのルート】

十二所バス停~三郎の滝

県道204号線から脇に入る道をしばらく歩くと、道が砂利道に変わります。

高低差もほとんどなく、とても歩きやすい道ですね。

 

 

歩く際は、スマートフォンのグーグルマップで現在位置を確認しながらがおすすめです。

朝夷奈切通までの道を間違えることはないと思うのですが、マップを見ないと途中にあるスポットを気づかずにスルーしちゃうんです。

今回、私も「太刀洗水」をスルーしていて、一度引き返してます。

 

 

太刀洗水は、梶原景時が上総介広常を暗殺した際、この湧き水で太刀の血を洗い流したとされています。

2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていれば、あの衝撃的なシーンの後だとわかりますね!

近くに降りて汲むことができますが、飲料不可とのこと。

ちなみに、太刀洗水が流れ込む川は「大刀洗川」と呼ばれ、滑川の支流となっています。

 

 

大刀洗水から歩くこと数分、分岐に到着します。

左に行くと「朝夷奈切通」、右に行くと「十二所果樹園」です。

十二所果樹園は「鎌倉の隠れた梅の名所」といわれていますが、穴場すぎて微妙なので、わざわざ行く価値は低いと思います。

 

 

分岐には、「三郎の滝(朝比奈の滝)」と呼ばれる滝があります。

朝夷奈切通を一夜で切り開いたという朝夷名義秀の幼名「三郎」が由来みたいですね。

ここから本格的な朝夷奈切通が始まるイメージです。

三郎の滝~朝夷奈切通

ここから坂がしばらく続きますが、傾斜が緩やかなので体力的にはほとんど負担になりません。

ですが、問題なのは湧き水で「常に道の上を水がちょろちょろ流れている」状態が続きます。

なので、滑らないように注意が必要です。

でも、この雰囲気がとても神秘的で、私は結構好きです。

 

 

「朝夷奈切通は西の鎌倉ルートがおすすめ」の理由はこれで、滑りやすい路面を登るのは楽だけど、逆に下るのはかなり危険ということです。

もし東の横浜側から来た場合、このぬかるみの坂を延々と下ることになるので、ちょっと私は嫌です、靴も汚れるし。

 

 

しばらくドロドロ道を上ると、だんだん道が乾いてきて普通の道になってきます。

すると、すぐに朝夷奈切通の象徴的な場所に到着します。

右側の大きな岩盤に仏さまが彫られています。

 

 

これは磨崖仏(まがいぶつ)と言われる仏様で、とても神秘的です。

長い間、切通を通る人を見守り続けていたと思うと、とても感慨深い・・・・と思ったのですが、どうも磨崖仏が彫られたのは近年という説もあるみたいんなんですよね。

まあ、こういうのも鎌倉らしいと思います。

 

鎌倉側から歩くと、磨崖仏に迎えられてる感があるので、この点でも鎌倉側から歩くほうがいいと思います。

横浜側からだと、最悪気づかずにスルーする可能性もあるし。

 

 

磨崖仏が彫られている岩盤には、何か工具で掘られたような跡が残っています。

石見銀山もそうですが、手作業で切り開いたとか信じられないですよね。

この磨崖仏周辺は、とても神秘的で不思議な雰囲気があります。

朝夷奈切通~朝比奈バス停

磨崖仏からすぐのところに分岐があり、右に進むと熊野神社、まっすぐ進むと横浜方面の出口に向かいます。

 

 

熊野神社は、管理している人が常駐していない、いわゆる「無人」の神社です。

訪れる人が少ない、とても静かな神社です。

分岐から5分ほどで到着するので、体力に余裕があれば寄り道してもいいと思います。

 

 

熊野神社との分岐をまっすぐ進むと、横浜方面の出口に向かいます。

この辺りは鎌倉側のように湧き水などはないのですが、黒い土嚢が置いてあります。

せっかくの歴史とか神秘的な雰囲気が台無しで、非常に残念です。

横浜側から歩くと、最初にこの残念な景観に遭遇するので、これも鎌倉側から歩くことをお勧めするポイントの一つです。

 

 

こういう素敵なポイントもあるのですが、黒い土嚢で台無し。

 

 

しばらく歩くと、「横浜横須賀道路」が切通の上を走っているポイントに到着します。

なかなか面白い景色ですよね!

 

 

「横浜横須賀道路」の下をくぐると、朝夷奈切通の横浜側出口に到着します。

じわじわと切通っぽくなる鎌倉側と違って、急に現代に戻ってくる感じがしますね。

 

 

出口から歩くこと数分、県道23号線沿いに、上総介広常の供養塔があります。

上総広常の館は朝夷奈切通沿いにあったとされているので、大刀洗水など上総介広常に関連するスポットが点在しています。

 

 

帰りは、朝比奈バス停から鎌倉駅行きのバスに乗ることをお勧めします。

今来た道を歩いて帰ることもできますが、ドロドロ道を下るのは危ないし靴が汚れます。

また、鎌倉駅までは朝比奈峠を上る必要があるので、県道を歩いて帰るのはかなり体力を使います。

ここはおとなしくバスを利用するのが正解。

 

【朝夷奈切通ハイキングコース全体ルート】

まとめ:古都・鎌倉の切通「朝夷奈切通」を歩くハイキングコース

鎌倉の7つの切通のうち、個人的に最も雰囲気があっておすすめなのが「朝夷奈切通」です。

  1. 1時間もあれば歩ける
  2. 昔の切通のイメージを残している
  3. 神秘的な雰囲気

この3点がおすすめする理由で、手軽に古都鎌倉の雰囲気を感じられるのがポイントです。

鎌倉駅からのアクセスが若干悪いこと、途中でドロドロエリアがあることが難点ですが、しっかり準備しておけば特に問題ありません。

鶴岡八幡宮、大仏、小町通りなどのメジャーなスポットも楽しいのですが、一味違った観光もぜひ検討してみてください。

 

切通7口の中では、「名越切通」もおすすめです。

ですが、こちらは途中にある「まんだら堂やぐら群」の公開時期が限られているので、事前に「逗子市公式サイト」で必ず確認してください。

古都・鎌倉の衣張山、まんだら堂やぐら群、名越切通を巡るハイキングコース

 

「鎌倉おすすめ」はこちら

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